目標設定
FXはメンタルゲーといわれるほど、精神状態がトレードに対して及ぼす影響が大きい。なので、明確な目標を定めない方が資金が増える場合も多々ある。
ただ、どれくらいの期間でどれくらいの金額を目指すかは、ある程度定めておかなければならないと考えている。
なぜなら、それがないと自分が取り組んでいるトレードが正しいものか、はたまた間違ったものかが正しく評価できないからだ。
例えば、1年以内に資金を100倍にするという目標を立てたときに、自分のトレード手法の出せるパフォーマンスが日利1％だったら、年間で平日が260日あり複利運用をすると仮定しても、13倍にしかならない。
もちろんこれは素晴らしい数字だが、FXを始める人の多くは1万や2万といった小額から始める場合がほとんどなので、1年間頑張って13万なら別の副業をやった方が効率がいいのではないかと思う。
「2年目は13万がまた13倍になるならいいじゃん！」と考える人もいるかもしれないが、FXはそんなに甘いもんじゃない。FXで負ける時はたった数回のトレードで今まで積み上げてきたすべての資金を吐き出し、退場していくパターンだからだ。そして、そもそも論だが1年間無敗で勝ち続けて13倍になどできない。
では、どういった戦略でこのゲームを攻略すればいいのか？？
そう、これを考えようと思ったら、やはりどれくらいの期間でどれくらいの金額を目指すか、ある程度定めておく必要がある。
FXを始める人は大前提として、10万以内の小額から始める人がほとんどだと思う。資金量が1000万あって、それをFXで1億にします！というのはあまり合理的ではないと思う。なぜなら上でも述べたようにFXで負けるパターンのほとんどが、たった数回のトレードで全損してしまうパターンだからだ。
だから逆に、1万や2万といった小額からレバレッジを使って資金を大きくするためにFXという手段をとることは合理的であると考えることができる。
では、小額から始めるとして具体的な期間と金額の目標をどこに置くのが適切かだが、正直言って人それぞれで、その人に合った目標期間と金額を決めていけばよいというのが私の見解だ。
なので、とりあえずの目安として1年間で資金を1000倍にするを目標として考えてみたいと思う。
トレード方針
仮想通貨は365日取引ができる場合もあるが、FXのトレードができる日は基本的には平日である。では、この平日が年間何日あるのかというと、年間で260日前後ある。
では、1日1回トレードすると仮定して、どういったリスクリワードで？ 勝率何％で？ 1回の許容損失を何％？とすれば、260回のトレードで資金を1000倍に出来るかというのをまずは真面目にシミュレーションしなければならない。
ここも本来はその人の性格に合った数値を設定をするしかないのだが、目安として私が設定した数値を基にお話しさせていただくことにする。
私が設定して数値は、以下である。ちなみにこの数値は複利運用を前提としている。
- リスクリワード1：1.3（PF1.3）
- 勝率60％
- トレード1回あたりの許容損失 口座資金に対して－10％
要約すると「10回トレードした場合、6回勝って、4回は負ける。勝つときは資金が13％増え、負ける時は10％減る。」といったものだ。
これを感覚的にいけそうと思えるかどうかが大事だが、私からするとちょっと許容損失は抵抗がある。しかし、1000倍という目標を1年という短期間で成し遂げようとすると、計算上はこのくらいのリスクを取るしかなかった。
許容損失を－5％に設定してシミュレーションした場合の結果は、1000倍という数字に遠く及ばなかったからだ。逆に言うとそれくらい複利運用のパワーはすさまじいということにもなる。
シミュレーション結果
では、具体的にシミュレーション結果がどうなったか見ていくことにしよう。設定値は上記の値で260回複利運用トレードを①～⑤まで5回試行した結果である。
初期資金は1万円なので、1000万円(グラフ上の黒太線)に到達していれば1000倍を達成していることになる。
これを見ていくと①を除いて目標の1000倍を達成していることが分かる。ただ①についても400倍なのでかなりの利益率であることは言うまでもない。
また、このシミュレーションを何度か繰り返してみたが、初期投資資金の１万円が溶けることは今回検証した限り発生しなかった。
よってあとは、勝率60％でリスクリワードが1：1.3のトレード手法を構築することに注力していけばよいことが分かる。
ちなみに、同じ勝率60％でも①～⑤のグラフの波形に差が出るのは、勝ち負け、連勝連敗が260回のトレードうちで何回目で発生するかが異なるからである。もっと言うと各トレードは独立試行で計算しているため、260回のトレードのうち156回が勝ち、104回が負けとはなっていない。
つまり、①～⑤各トレードの通算勝率は60％から多少ばらついているということで、よりリアルに近い形でシミュレーションしていると考えてもらえればよいと思う。
まとめ
ここまででカンの良い方ならもうお気づきかもしれないが、Twitter、InstagramなどのSNSで目にする、「勝率○○％！」、「リスクリワード1：3以上！」という広告じみた謳い文句。資金を増やしていくことを考えるとそれら単体の数値はあまり意味を成さないことが分かる。大事なのはそれらを掛け合わせた1トレード当たりの期待値であるからだ。
また、1回のトレードに固執する必要がないことも分かる。大枠の目標を定め、トータルで期待値が積み上がるような、自分なりのトレードスタイルを構築し、それを繰り返していくことがFXにおいて最も重要である。